NO.205 禁欲的プロテスタントの現時点でのイデオロギーが、世界経済に大恐慌を引き起こす。
2019年時点。大恐慌は、経済を完全に市場原理に委ねるから生起する。
2019年時点の世界経済には、世界経済における富の殆どを、少数の富裕層に分配するダイナミズムが組み込まれています。
この事が、世界経済に大恐慌を引き起こすでしょう。
参照記事
これが、一番、読みやすく書いているかな?読みにくかったら、ごめん。
別の参考記事
世界経済を完全に市場原理に委ね続けるのなら、世界経済が大恐慌に突入する事は避けられないでしょう。
しかしながら、禁欲プロテスタントの現時点でのイデオロギーが、世界経済を完全に市場原理に委ね続けることしか許さないのです。
大恐慌の原因となる、禁欲的プロテスタントの現時点でのイデオロギーについて。
参考記事。禁欲的プロテスタントの世界観について、まとめました。
キリスト教社会の職業労働を行う人達は、経済は市場の自由に委ねるべきであると強く信じていると思います。
これは、宗教的なイデオロギーです。
禁欲的プロテスタントは、職業労働を神様の命令であると解釈します。人が神様の御心に適うなら、天地の法則に従った現象が推移する事により、全ての苦難が解決される。
この予定調和(Monad)の思想を、禁欲的プロテスタントは信じているのだと思います。
神様が奇跡を起こして苦難を解決するのでは無い。宇宙の法則に従った現象が進行した結果、苦難が解決する状態に至るのです。
神が起こした奇跡の例。旧約聖書におけるモーセの出エジプト紀。
「ユダヤの人々にパレスチナの地を与える。」これがヤハウェのユダヤ人への約束でした。
モーセはヤハウェの命令に従って、ユダヤ人達を率いてエジプトを脱出した。
モーセとユダヤ人達が公開に辿り着いた時に、紅海に行手を阻まれた。
モーセがヤハウェに祈ったら、紅海が真っ二つに分かれて、海の底に人間が歩ける道ができた。神は、この奇跡を起こして、ユダヤ人を救った。
架空の世界情勢を設定します。仮にこの時、大船団が現れて、紅海に到着したユダヤ人を乗せて、紅海の対岸に運んだとしましょう。
ユーラシア大陸のエジプトと敵対する王国が、パレスチナにユダヤ人を入植させて、国防の最前線とする政策を実行しました。
この場合は、ユダヤの人々にパレスチナの地を与えると言う神様の御心は、国際情勢の推移により実現しました。
旧約聖書の記述では、モーセの後継者のヨシュアが、パレスチナの地を制圧した。
仮のこの世界情勢では、パレスチナのユダヤ人達は、しばらくの期間、ユーラシア大陸のエジプトと敵対している王国と、同盟する事になるでしょう。
旧約聖書には、ヤハウェは奇跡を起こして、モーセとユダヤの人々を救った事が記述されている。
イエスキリスト以降の時代は、奇跡は決して起こらない。「ヨナの奇跡の他は、人類には、決して奇跡は与えられない。」新約聖書の福音書に、そう記されている。
禁欲的プロテスタントは、経済を市場原理に委ねる事により、神様の栄光が実現すると信じている。
小室直樹先生が、カルヴァニズムにおける職業労働について、言及しました。
職業労働は神様の命令である。人は、神様の命令を守っても、救われる訳では無い。誰が救われるかは、天地創造の以前に、神様が決めている。予定説(Predestination)です。
職業労働の目的は、神様の栄光である。人は、神様の栄光を高める為に、職業労働に従事しなければならない。
神様の御心は、必ず実現する。しかし、神様が奇跡を起こして御心を実現させるのでは無い。
神様の御心は、天地の法則に従った現象が推移する事により、実現する。
神様は、御心を実現させる目的で、天地を創造した。天地の法則も、この目的の為に創造された。
全ては、天地の創造の以前に定められていた。創造された宇宙は、天地創造の以前に計画された通り、宇宙の法則に従った現象の推移により、神様の御心を実現させる。
人の手により、神様の御心が実現する事はあり得ない。神様は、ご自身の力で御心を実現させる。
人が神様の御心に介入する事は、許されない。人は、全てを神様の御心に委ねなければならない。
禁欲的プロテスタントにとって、経済を市場原理に委ねる事は、経済を神様の御心に委ねる事なのだろうと思います。
禁欲的プロテスタントは、神様の栄光を実現させる為に職業労働を行います。
禁欲的プロテスタントが職業労働を行ったら、市場原理の法則に従った現象の結果、神様の栄光が実現します。
例えば、ニューヨーク証券取引市場で株価が最高値を更新する。
この事は、禁欲的プロテスタントにとって、神様の栄光が実現した事なのでしょう。
禁欲的プロテスタントは、職業労働に従事した後、経済を市場原理に委ねます。その結果、神様の栄光が実現する。禁欲的プロテスタントは、そう信じている。従って、経済を市場原理に委ねる限り、世界経済が大恐慌に陥る事はあり得ない。禁欲的プロテスタントは、そう信じています。
禁欲的プロテスタントは、ケインズ政策に反対するでしょう。ケインズ政策は、経済を市場原理に委ねず政府が介入する事だからです。
仮に、市場原理に委ねられた世界経済が大恐慌に陥ったら、禁欲的プロテスタントの信仰はどうなるか?
聖書の記述は真実です。しかし、聖書を読んで解釈する人間は、解釈を誤る可能性があります。ルターやカルヴァンも、聖書の解釈を誤る可能性があります。
「我々は、聖書の解釈を誤っていた。」禁欲的プロテスタントは、そう結論する。それだけの事です。
「人間は、聖書の解釈を誤る可能性がある。」この事に、禁欲的プロテスタント達は、強い問題意識を抱き続けているでしょう。
「私は、聖書の解釈を誤っているかも知れない。」この事に対する危機意識を、禁欲的プロテスタント達は、常に自覚しているでしょう。
参考記事
禁欲的プロテスタントは、原理的に、キリスト教原理主義者です。ただ、現在の禁欲的プロテスタント達は、過去のキリスト教原理主義者達の聖書の解釈に疑問を持つ人達は多いと思います。
現在の禁欲的プロテスタント達は、論理を徹底して聖書を解釈した。その結果、多くの禁欲的プロテスタント達が、過去のキリスト教原理主義者達の解釈に疑問を持ったと思います。
一つ指摘しましょう。進化論裁判(Scopes Trial)は、適切では無いでしょう。神は、神の実在の証拠を、人間が得る事を許さない。聖書は、そのように解釈できる。つまり、どこの地層を探しても、人間は、天地創造の証拠を見つける事はできない。人間には、人間が猿から進化したようにしか見えない。神は、天地をそのように創造した。
人間には、決して奇跡は与えられない。聖書は、そのように解釈できる。
「見ないで信じなさい。」それが、神様の人間に対する命令です。
神様の栄光は、宇宙の法則に従った現象により実現する。神様は、奇跡により栄光を実現しない。奇跡は、神様が実在する証拠です。神様は、奇跡を絶対に人間に与えない。
論理的に一貫しています。
現在の禁欲的プロテスタント達は、先人であるキリスト教原理主義者に対して、こう思うことも多いでしょう。「あの人達は、論理的に徹底して、聖書を解釈できなかった。」
そして、禁欲的プロテスタント達は、自分自身についてもこう思うでしょう。「私も、聖書の解釈を誤っているかも知れない。」
TOP記事
コメント
コメントを投稿