NO.200 インドとダールアルイスラーム(Dar al-Isram) その2


インド社会、破滅の原理



この記事は、NO.199の続きです。
NO.202  ヒンズー教徒とインド人の行動原理

インドのカースト(Caste)制度



インドのカースト(Caste)は、ヴァルナ(Varna)とジャーティ(Jati)で成立しているようです。
ヴァルナ(Varna)は、バラモン(Brahmin)、クシャトリア(Kshatriya)、バイシャ(Vaishya)、シュードラ(Shudra)の4段階のカースト(Caste)で構成されています。
インドのカースト(Caste)には、ヴァルナ(Varna)の下層に被差別民(Outcast)である不可触民(Dalit)のカースト(Caste)が存在している。

この不可触民(Dalit)は、インド憲法でも指定カースト(Scheduled Castes)として規定されている。インド憲法は、指定部族(Scheduled Tribes)も規定している。
インド憲法は、指定カースト(Scheduled Castes)と指定部族(Scheduled Tribes)の権利の保障を規定している。

インドには、不可触民(Dalit)出身の有力政治家は多い。
モディ首相は、ヴァルナ(Varna)の外部の社会階層の出身らしい。モディ首相の出身は、指定カースト(Scheduled Castes)では無いらしい。

モディ首相は、ヒンズー至上主義団体に参加する事から、政治家としてのキャリアをスタートさせた。

インターネット記事が伝えるカースト(Caste)差別の実情



インドのカースト(Caste)制度による差別は、ヒンズー教の教義によるらしい。あるカースト(Caste)の人は、下位のカースト(Caste)の人が触れた物に触れると穢(defilement)れると認識する。
この事は、ヒンズー教の根本原則のようです。インド社会では、本来は、この原則が徹底して守られる。
人は、その人の下位のカースト(Caste)の人が触れた物に、決して触れない。社会生活の中で、本来は、この原則が徹底される。

不可触民の女性は、恋愛適齢期になると、常に性的暴行の危険に晒されると記述していた記事があった。上位のカースト(Caste)の者達が、カースト(Caste)の原則を不可触民の女性に理解させる為に、不可触民(Dalit)の女性を性的暴行する事が行われているらしい。

ヒンズー教では、カースト(Caste)の下位の人達に触れると穢(defilement)れるとされているでしょうから、この性的暴行は、ヒンズー教の原則違反では無いかと僕は思います。

次のエピソードを読んだ。ある恋愛適齢期の若者が、下位のカースト(Caste)の女性にラブレターを送った。その若者は、ラブレターを送った女性と同じカースト(Caste)の者達に、リンチをされて殺された。その若者の母親は、息子の生命を奪わないように、下位のカースト(Caste)の者達に懇願したらしい。
その母親の懇願は、聞きいられなかった。
カースト(Caste)の原則を破る者は、殺される事が、インド社会の慣行らしい。これを、ポアと呼称するらしい。

で、ヒンズー教では、ヒンズー教徒でない人達を、どのように位置付けているでしょうか?
ヒンズー教への改宗者は、ヴァルナ(Varna)の最下層のシュードラ(Shudra)の所属となる。ヒンズー教徒でない人達は、ヴァルナ(Varna)の外部に位置付けられる。

インドのカースト(Caste)制度は、インドが国際社会から孤立していた時代に、インドに有益な制度だったと推測します。



以上の事柄を根拠として、僕は結論します。カースト(Caste)制度が、インド社会の破滅の原因となり得る。
インドが国際社会の一員になったからです。

不可触民の人達にも、カースト(Caste)制度を支持する人々は多い。インドの人々には、職業選択の自由は無い。その人が所属するカースト(Caste)により、従事する職業が決められる。
言い換えるなら、全てのインドの人々は、職業が保証されているのです。

ヴァルナ(Varna)の最上位のバラモン(Brahmin)は、宗教儀式を仕事とします。その宗教儀式で使われる道具の製造は、不可触民(Dalit)の職業です。

ヒンズー教徒は、所属するカースト(Caste)で教義を守って生活すれば、死んだ後、転生輪廻により、次に上位のカースト(Caste)に生まれる事になる。
ヒンズー教徒は、この事に希望を持ち、日々を生きるのでしょう。
下位のカースト(Caste)の人達が、差別を受け入れる事は、その人が敬虔なヒンズー教徒である証明にもなるでしょうね。

上位のカースト(Caste)の者達でも、カースト(Caste)制度の違反者は、下位のカースト(Caste)の者達に死の刑罰を行使される。
ヒンズー教の正義は、守り抜かれる。
この原則は、ヒンズー教の求心力を維持し続けてきたでしょうね?

カースト(Caste)制度は、インド社会を適切に維持する為には、インドに最も適した制度だったのでしょう。
インドは、極めて多様性に満ちた社会なのでしょう。インドは、その為に膨大な数のカースト(Caste)を定め、社会的分業を成立させる必要があったのでしょう。

ただ、インドが国際社会の一員となったことにより、事情は、根本的に変わったでしょう。

国際社会の一員となったインドの危機の構造



ヒンズー教徒でない人達、特にキリスト教とやイスラム教徒の人達は、カースト(Caste)制度を受け入れる事に、大きな困難を伴うかもしれません。
インド社会で、本当の意味において国際社会の一員となれる人達は、不可触民(Dalit)の人達だけかも知れません。
僕は、そう思います。

過去においても、ヒンズー教徒とヒンズー教徒でない人達の共存には、様々な難問が生起していたでしょう。
ヒンズー教徒は、ヒンズー教徒でない人達を差別しない事は、ヒンズー教の原理的に有り得なかったでしょう。
ヒンズー教徒は、ヒンズー教徒でない人達に、カースト(Caste)の原則を一切適用しないらしい。
ヒンズー教徒は、下位のカースト(Caste)の人が触った物に触れると穢(defilement)れるのに、ヒンズー教徒でない人が触った物に触れても穢(defilement)れない。

ただし、これは、下位のカースト(Caste)の人達に限られるのかも知れない。
上位のカースト(Caste)の人達は、ヒンズー教徒でない人達と、決して接触しない。
例えば、最上位のバラモンの人達は、絶対に穢(defilement)れてはならない。この人達は、宗教儀式を行なって、全てのカーストの人たちを、転生輪廻により来世で上位のカースト(Caste)に生まれ変わらせなければならない。
バラモン(Brahmin)の人達は、常に清浄で居続けなければならない。
バラモン(Brahmin)の人達は、穢れ(defilement)の可能性を全て排除しなければならない。ならば、バラモン(Brahmin)の人達は、隔離された狭い空間の中でしか、生きる事が許されない事になる。

インドの大都市では、人は、自分のカースト(Caste)を秘密にし続けるようです。ある人が、下位のカースト(Caste)の人が触れたものを触れても、その相手のカースト(Caste)を知らなければ穢(defilement)れない。
この原理が適用される人達は、恐らく、バイシャ(Vaishya)、シュードラ(Shudra)、そして不可触民(Dalit)の人達でしょう。

ある若者は、相手のカースト(Caste)を知らない限り、その相手の触れた物に触れることに、抵抗感を持たない。
しかし、その若者の親の世代は、その相手が下位のカースト(Caste)の人間である可能性がある限り、その相手が触れた物に触る事ができない。

インドの国際化が進めば、カースト(Caste)制度の制約により生起する障害が、ますます深刻化するでしょう。

イスラム教徒やキリスト教徒は、自分達の宗教の原理原則を徹底させてインドと接するでしょう。
この人達は、ヒンズー教徒の行動が、この人達の原理原則に違反すれば、呵責のない対応をするでしょう。

イスラム教徒やキリスト教徒と、本当の意味において共存できる人々は、カースト(Caste)制度の制約から完全に自由になり得る不可触民(Dalit)の人達だけでしょう。

国際社会にとってのインドとは、不可触民(Dalit)の人達でしょう。
不可触民(Dalit)の人達の仕事は、穢れ(defilement)の可能性が許されないカースト(Caste)の人達を、国際社会から隔離する事でしょう。
そして、この事がインド国家の行動原理となっているでしょう。

そして、インド国家が、穢れ(defilement)の可能性が許されない人達を国際社会から隔離できなくなった時、インドのカースト(Caste)制度は終焉の時を迎え、インド社会は崩壊するでしょう。
清浄なバラモン(Brahmin)の人たちが存在しなくなれば、宗教儀式を行う人たちがいなくなる。天性輪廻により上位のカースト(Caste)に生まれ変われるヒンズー教徒は、誰も居なくなる。
間違いなく、急性アノミー(Acute Anomie)が生起するでしょう。
参考 : 急性アノミー(Acute Anomie)関連記事

世界情勢において、何が生起するかわからない事態になるでしょうね?

実現されたダールアルイスラーム(Dar al-Isram)は、このインドに対して、どう対応するでしょうか?
建設されたダールアルイスラーム(Dar al-Isram)の目的は、イスラム教の目的の実現ですから、この事は課題となるでしょう。


現時点の僕としては、この問題提起しかできません。





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