NO.151 昭和天皇の人間宣言の意味 昭和天皇は、日本政府が、「神が下す命令」を作る事を禁止した。 本当は、昭和天皇が、日本社会を急性アノミー(Acute Anomie)から救った。 ・・・ テーマラベル : 日本社会の分析について,単純アノミーと急性アノミー
昭和天皇の人間宣言の意味
昭和天皇は、日本政府が、「神が下す命令」を作る事を禁止した。
本当は、昭和天皇が、日本社会を急性アノミー(Acute Anomie)から救った。
小室直樹先生は、1970年以前に、日本の急性アノミー(Acute Anomie)を警告した。
アノミー(Anomie)は、社会学上の概念です。アノミー(Anomie)は、単純アノミー(Simple Anomie)と急性アノミー(Acute Anomie)に分類される。
アノミー(Anomie)については、過去の記事で、僕は繰り返し詳細に言及しています。
急性アノミー(Acute Anomie)は、社会を崩壊させます。急性アノミー(Acute Anomie)は、人間集団を支配します。
急性アノミー(Acute Anomie)に支配された人は、敵と味方を識別しない、無差別な攻撃衝動に、精神を支配されます。その攻撃衝動は、その人自身にも向けられます。
その人の急性アノミー(Acute Anomie)は、最後は、その人自身を殺します。
急性アノミー(Acute Anomie)は、その人が、進行している対象から裏切られた時に、その人を支配します。
その人は、精神が、未知の恐ろしい宇宙空間を、孤独に漂っている感覚に陥ります。
人の精神は、自らがこの世界に実在している事を確信する必要があるのでしょう。
何かが神になって、その人に「安息の地。」を約束してくれる。
人の精神は、この状態を必要とするのでしょう。
日本人にとって、この神の役割を、天皇陛下が引き受けてくれてきたのでしょう。
恐らく、日本神話の時代から。
第二次世界大戦後、昭和天皇は人間宣言を行った。
しかし、日本人にとって、天皇はその後も神だった。
平成の天皇陛下は、御自身を象徴天皇であると宣言し続けた。平成の天皇陛下は、日本国憲法を尊重する事を宣言し続けた。
平成の天皇陛下は、平成の時代が、平和の時代である事を望み続けた。
日本人は、平成の天皇陛下の意思を、神の意思と認識した。
ここに、昭和天皇の人間宣言の意味が、明確になったと僕は結論します。
昭和天皇は、日本政府が神の掟を作る事を許さなかった。
昭和天皇は、日本の国が、この現実の世界において、神の国になる事を許さなかった。
「私は、この現実の世界の神では無い。」昭和天皇は、こう宣言した。
日本政府は、憲法や日本国の法律を、「神が下す命令」にしようとし続けてきた。昭和天皇は、これを禁止した。
日本政府は、日本の国を、この現実の世界における神の国にしようとした。日本政府は、その為に、天皇陛下を、この現実の世界における神にしようとした。
その結果、第二次世界大戦の悲劇が生起した。
「皇室典範(Imperial Household Law)に違反して、天皇が退位(Abdication)する事は許さない。」平成の天皇陛下の退位に関して、日本政府関係者は、最初は、このように発言し続けた。
日本人にとって、天皇は神である。しかし、この現実の世界においては、天皇は人である。
日本人にとって、この現実の世界は、仮の世界である。
日本人にとって、神が約束した「安息の地。」は、別の異世界にある。
このように考えれば、日本社会の急性アノミー(Acute Anomie)が鎮静化している事を、僕は納得できる。
立憲国家に、王の大権(Royal prerogative)があります。国家が直面する困難の際に、政府が全く選択を為し得ない事態に至る事があります。
その際に、王が選択を行う事です。
小室直樹先生が、指摘しました。
王が発動した王の大権(Royal prerogative)は、その国家の全ての法律に優先します。
王の大権(Royal prerogative)は、絶対権力です。しかし、発動するケースは、ごく限定的です。
それは、国家の存亡が決まる局面で、政府が意思決定能力を完全に喪失した局面です。
日本の存続か滅亡かを決める局面になり、日本政府が、一切の意思決定能力を喪失したら、天皇陛下が大権(Royal prerogative)を発動するでしょう。
日本人は、天皇陛下に従うでしょう。
国家の存続か滅亡かが決まる局面で、天皇陛下が最後の選択を行う。
「天皇陛下が決めて、それで駄目ならば、我々は納得できる。」日本人は、そう納得するでしょう。
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