NO.147 小室直樹先生が指摘した、第二次世界大戦後の日本社会を蝕む急性アノミー(Acute Anomie) 現在の症状について。 ・・・ テーマラベル : 日本社会の分析について,単純アノミーと急性アノミー
小室直樹先生が指摘した、第二次世界大戦後の日本社会を蝕む急性アノミー(Acute Anomie)
現在の症状について。
小室直樹先生は、1970年以前より、日本社会の急性アノミー(Acute Anomie)について、警告してきました。
アノミー(Anomie)は、社会学上の概念で有り、単純アノミー(Simple Anomie)と急性アノミー(Acute Anomie)に分類されます。
人は、信仰の対象に裏切られた時に急性アノミー(Acute Anomie)に陥ります。
急性アノミー(Acute Anomie)に陥った人は、敵と味方の識別のない、無差別な攻撃衝動に精神を支配されます。
この攻撃衝動は、その人自身にも向けられます。
小室直樹先生は、日本社会に急性アノミー(Acute Anomie)が生起した原因について、二つ指摘しました。
一つは、昭和天皇の人間宣言(Humanity Declaration)で有り、もう一つは、第二次世界大戦後の村落共同体の崩壊です。
僕は、過去の記事で、何故、天皇が現人神にならなければならなかったかについての考察を述べました。
日本社会に急性アノミー(Acute Anomie)が生起した最初は、江戸時代の末期に日本が鎖国を辞めた時だった。
この急性アノミー(Acute Anomie)を抑止する為に、天皇は現人神になった。
本当は人間である天皇が神の役目を負わなければならないことにより、日本社会は、常に急性アノミー(Acute Anomie)発症の危機に直面し続けなければならなくなった。
過去の記事で、僕は、この考察を述べた。
現在、日本社会の急性アノミー(Acute Anomie)は、深刻化していない。それには、理由があるのでしょう。
日本人は、昭和天皇の人間宣言(Humanity Declaration)により、信仰の対象を失った。日本人は、代わりの信仰の対象を求めたと思う。
僕は、一時的なアノミー(Anomie)だと思っているけれど、経験があります。とても苦しい。
精神が、未知の空間を漂っている感覚に陥る。僕の精神が、冷たい業火に焼かれる感覚に陥った。
誰もがあの苦しさから逃れたいだろうと、僕は思う。
その為に、誰もが新しい信仰の対象を探し求めると思います。
その新しい信仰の対象が、例えば、東京大学であり日本の官僚だと思います。
東大生には、途轍もない能力を持つ人がいるでしょう。フォトリーディングの能力のエピソードを聞いた事があります。本当の話だろうと思います。
しかし、途轍もない能力を持つ東大の学生も、万能ではない。
途轍もない能力を備えている反面、重大な弱点をも、彼らは併せ持つ。
それが人間でしょう。
例えば、論理的思考能力の重大な欠落。日本の学校教育には、論理的思考の訓練が完全に欠落している。
もう一つ。彼らは、目の前の情勢を、自分自身で分析する事ができないようです。
「目の前の情勢を、自分自身で分析して、情勢に適切に対応した解決策をゼロから創造する。」
現実の世界で仕事を果たす為には、これを行う事が不可欠でしょう。
彼らは、これが不得手だと、僕は思う。そうでなければ、「想定外。」と言う重大な問題は生起しない。
官僚達は、東日本大震災の時以降、今に至るまで、「想定外。」を、どうする事もできないでいる。
台風15号、台風19号の被災においても「想定外。」は露呈している。後日、言及します。
「東大生は、万能である。」「官僚は、誤りを犯さない。」
多くの人々が、これらの事を信じ切って、疑わないようです。
これらは、合理的根拠を持たない信仰です。
ここで、論理的思考を為し得る者、また、自分自身で情勢を分析して解決策を創造し得る者が、東大生に一人もいない事は考えづらい。
この人達は、排除されるのかも知れない。
東大信仰、官僚信仰の原点は、東大入試、国家公務員試験でしょう。
これら二つの試験が、世界で唯一の真理でなければならない。
この真理を否定する事柄は、排除される。
その結果、東大入試の真理を体現する者だけが残り、信仰の対象となる。
現実の世界では、この事は致命的になる。現実の世界の現象は、現実の世界のダイナミズムで進行する。
盲目的予定調和の信仰は、現実の世界のダイナミズムが否定する。急性アノミー(Acute Anomie)の生起は避けられない。
ヒトラーフロイトの定理では、こう指摘されている。
「カリスマの所有者は、過ちを認めなければ、カリスマを失わない。」
官僚達は、今まで、決して過ちを認めなかった。だから、今までは、官僚を信仰している人達は、急性アノミー(Acute Anomie)に陥る事がなかった。
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